島根県仁多郡奥出雲町馬木地区は、400世帯、人口1000人の純農村地帯です。中国山地の麓にあり国定公園吾妻山を越えれば広島県庄原市です。吾妻山山麓を源流とする清流の中で育った米、高地で昼夜の寒暖差が大きいブランド品仁多米の産地です。
春になると銀杏の芽吹きと共に農作業の開始です。五月の連休頃が田植えの真最中。
若葉から青葉に変わるころ草も伸びて、畦畔の草刈。銀杏の木陰に体を安め流れる汗を拭く農夫の姿。
秋冷の時季、イチョウの実は魚肉が思うように手に入らない奥地の貴重なたんぱく源でした。
黄葉の花火を思わせるイチョウの風情が終わると降霜の便り、イチョウ樹も裸木となり稲架もなくなり、村人はイチョウ樹の落葉に合わせて冬支度。厳寒の生活を支えるのは薪の準備でした。
このように、春夏秋冬を通してこの高台から馬木地区の人々を見守り、暮らしと深くかかわってきた大銀杏。